AIによって仕事が奪われる・・・ってなんで悪いことなの?どんどん仕事を奪ってもらうことが豊かさにつながる

AIによって仕事が奪われると言います
それは、悪いことなのでしょうか?

今仕事がある人が失業するんだから、それは良くないことだ
そういう意見もわかります

でも、今ある社会もたくさんの仕事がなくなって今に至ります。

もし、今、
飛脚が手紙を運んでいたとしたら?
そろばんで計算をしていたら?
文章を清書するだけの仕事をしていたら?
そういう仕事が残っていたとして、あなたはやりたいですか?

本来、技術の発展によって生産性が向上し、その結果として人間の労働は減るはずです。

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生産性の向上は、労働時間減少につながる

今は当たり前の週休2日制、これもつい最近のことですよね。
30年前は土曜日は隔週で出勤していたりしていたと思います。

江戸時代には灌漑技術により農業が効率化して耕作面積が一気に増え、
その結果として余暇が増えて様々な文化が花開きました。

これも生産性が向上したからでしょう。

ですので、今ある仕事が奪われれば、その時間を
・より高度なやりがいのある仕事をする
・余暇に当てる
とすれば良いのです。

もし週給、月給、年俸なら奪われて週3労働がいいですよね?
すでにそういう働き方は個人ならできるようになってきました。
後は時給ではない考え方をアルバイトなどにも広げていければいいのです。

資本家やAI技術を持つものに搾取される?

確かにAI技術を持ったものは働かなくても富を増やすことができるようになるでしょう。
それに対してけしからん、という意見を持つ人もいるかもしれません。

実は今の社会でも、資本家は働かなくても富を増やすことができています。
トマ・ピケティの21世紀の資本論にも、そう書いてあります。
そして、労働者による、その資本家に対する反発はいつの時代にもありました。

確かに資本家は昔に比べると著しく資産を増やしました。
例えば、それが昔の100倍だとしましょう。
実は労働者もそれに伴い、10倍程度には富を増やしているのです。
格差は増えましたが、絶対的な豊かさは増えています。
資本家が居なければ、今のこの豊かな生活は維持できないのです。

日本では、会社ばかりが私腹を肥やし・・・という議論もあるかもしれませんが、
この問題は資本家による搾取という構造により生まれているのではありません。

課題1:日本企業の労働生産性

一つは、日本企業が世界の中で儲かっていないことです。負けていることです。
そのしわ寄せがコスト削減という形で労働者にきています。
労働生産性をあげていく、それも、改善活動や残業削減やなんて言う方法でコツコツ改善していくというレベルではありません。
売値を2倍にして売れる商品を開発することだったり、営業をしなくても売れるブランドを作ることです。

中国製のスマホもiPhoneも性能が同じでも値段が2倍違ったりします。
食事をデリバリーしようと思ったらUberEatsを利用します。お店も、きっとUberEatsに連絡するでしょう。新規開拓の営業は不要です。
アメリカの会社が生産性が高いのはコツコツ努力したからではなく、単純に儲かるビジネスを作ったからです。

いま、世界の企業が世界中の人のお財布からどうやってお金をもらうかという競争をしています。
日本企業は今残念ながら、世界中のお財布からお金をいただくことができておらず、ネットフリックスやアマゾン、フェイスブック、グーグルを利用してアメリカにせっせとお金を送っています。
これでは、彼らの労働生産性が高まるばかりで、日本企業は相対的に下がっていきます。

課題2:富の再分配がうまくいっていない

もう1つは、富の再配分がうまくいっていないということです。
先程も申し上げましたように世界が豊かになるためには、資本家が必要でした、
これからはAIがそれを牽引していくと考えられます。

資本家も、AIも、どちらも今ある格差を更に大きくすることは間違いありません。
実は、経済成長には格差拡大が必ず伴うのです。
豊かなものがまず先に豊かになる。そうすればみなが豊かになっていくのです。

富めるものが先に富むことで、全体の富が向上する

全員平等の社会主義から経済開放政策に転換した中国では、鄧小平が先富論を唱えました。
「我々の政策は、先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること、富裕層が貧困層を援助することを一つの義務にすることである。」
これを基本方針として、上海を豊かにし、その後の経済成長が始まりました。

まずは豊かになれる者が豊かになる、ですので、資本家やAI技術を持つ会社が豊かになってもらわなければいけません。
それを妬んだり、足を引っ張ったりしているようではいつまで経っても豊かにはなれません。
日本においては年収2000万円以上の方々が沢山納税をしてくれているから、今の生活があるのです。
感謝をして、もっと稼いでもっと納税して、そして生活を豊かにしてほしいと願うことが結果的に庶民の幸せに繋がります。

富の再分配の形をアップデートしていく必要がある

ただ、現代は極端に個人主義に偏っています。
このままだと、
仕事を奪ったモノ、つまり、AI技術を独占している会社だけが栄えて、
それ以外の人々は仕事もなくお金もなく困窮している社会
になりかねません。

仕事が奪われる・・・そう思う人は、そんな未来を予測しているのではないでしょうか。

経済成長及び格差を生み出すところまでは自由経済の原則に任せ、
その資本家など持てるものの規制や、徴税及び再配分は政治の役割です。
技術の発展に合わせて、富の再分配をさらに強くしなければいけません。

法人税という分野では世界で税率を下げて、企業本社の誘致合戦を行っており、
日本としても税収を増やすためにこれに負けるわけには行きません。
税収を増やすというのは、結果的に持たざるものを豊かにするのですから。

しかし、幸いなこと日本には「税率が高くてもこの国に住みたい人」がいるような魅力ある国です。
いまの日本でも累進課税が行われていますが、より格差が拡大した場合は更に高額所得者の税率をあげていくのが、国民の幸せの総量をあげるためには必要がと思うのです。
そして、○○手当でも、ベーシックインカムでも、どんな形であれ持たざるものに還元され、それはきっと仕事を奪われる前の世界よりも住みやすいものになるでしょう。

だからといって、格差を無くす必要はないのです。
お金持ちがどんどんお金持ちになっていっても、別にいいじゃないですか。
それによって、庶民の生活も豊かになるのですから。

幸せや豊かさは人との比較をしても仕方ないものです。
絶対値としても豊かさが上がるのであれば、それは歓迎するべきものではないでしょうか。

まとめ

確かに仕事が奪われることにより一時的に困窮する人は増え、格差は増えるでしょう。
しかし、そのおかげでよりやりがいのある仕事だけを行うようになったり、余暇が増えたりして生活は充実します。
そして、豊かになれる者がさらに豊かになることによって、格差は拡大しますが、みなの生活レベルが上がっていきます。
お金持ちが来てくれてビジネスがしやすい環境を作る、つまりある種の金持ち優遇をして、
そしてそこに対してきちんと徴税する、ということがみなの幸せにつながると思います。

ですので仕事が奪われることをただ脅威に感じるのではなく、
その先にある豊かな社会を想像し、みなで作っていけたら良いのになと、そういう議論がでるたびに、考えています。

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