新卒・第二新卒での海外就職について実際の面接官としてエールを送りたい

最近東南アジアで働きたいという若者が増えてきました。

私の会社にもありがたいことに応募が来ており、最近は面接の回数も増えています。

今日は、そんな「東南アジア就職希望者」と話していることについて書いてみます。

海外で働きたい、と思っている若者(20代前半を想定)の方にぜひ転職活動前に読んでほしいです。

※私も試行錯誤中なのでもっと良い面接方法があればtwitterで教えて頂けると嬉しいです。

サクッと読める目次

新卒・第二新卒として海外で働くということ

「新卒海外」というワードをいろいろなところで見かけるようになってきた気がします。

私の会社にも、2人の新卒海外の若者と、2人の海外インターン生(休学中の大学生)がジョインしてくれています。

本当によく活躍してくれていて助かっています。

彼らの人生にとって良い時間になることを願いながら一緒に会社を作り上げています。

日本の経験がなくても海外で働ける?

日本での経験がなくても海外で働けるの!?と思った方もいるかもしれませんが、実はかなり就職先はたくさんあります。

1つは、日本人向けの営業やカスタマーサポート職。日本向けのコールセンターなんていうものもあるそうです。

ただ、仕事内容が日本でのアルバイトと同じで給料が安いだけというものも少なくありません。海外に住むだけが目標であればよいのですが、キャリアアップにはつながらないですね。

2つ目として、「日本の良さ」を外国人に売る仕事があります。訪日ツアーの外国人向け営業もあれば、外国人もターゲットとした日系飲食店などがあります。

さらに、外国人の管理という仕事もあります。未経験なのに管理?と思う人もいるかもしれませんが、東南アジア人若手正社員よりも日本人の新卒の方が仕事に対する意識などがしっかりしていることが多々あります。正直、アルバイトでマネージャー経験がある日本人学生は東南アジアの社員の管理がとてもうまくできると思っています。

これは、教育や文化の背景が大きくあると思いますが、日本人大学生はアルバイトなどを通じて日本人としての働き方をある程度身につけていると思っています。これが第二新卒になると、かなり身につけているので話が通じやすく、現地メンバーに色々と教えることもできるのです。

海外に住む日本人が興したベンチャー企業は多数あります。私の会社もこれに分類されると思いますが、どこも人手が足りないという話を聞きます。人を選びますが、ベンチャーであれば裁量権も大きく働けるので合う人にはおすすめです。

海外で働くメリット

海外で"働く"メリットはざっくり3つあると思います。それは、

  1. 同僚が外国人になる
  2. 取引先が外国人になる
  3. 裁量権が大きくなる

というものです。もちろん、会社によってはこの3つすべてがあるとは限りません。また、海外に"住む"という経験を通じての学びも別途たくさんあることでしょう。

同僚が外国人になる

同僚が外国人になると、日本人とは異なるコミュニケーションが必要になってきます。仕事に対する考え方、事業に対する理解など、育ってきた背景でかなりの差が生まれています。その異文化のチームで働くという経験を積むことができます。

海外で働き続ける場合はもちろん、将来日本に戻るとして、日本国内で働く外国人が増えた際に活躍できる人材になっているでしょう。

取引先が外国人になる

取引先が外国人ということは、外国人に対してものを売っているということです。現在、日本では日本のものを海外に売ろうという動きが到るところで見られ、様々な試行錯誤が行われていますが、そのまさに最前線に従事することになります。

人口が減っていく日本の経済を維持・成長させるには日本国外にモノを売っていく必要があるため、外国人煮物を売ることのできる人材はこれからずっと求められていきます。

裁量権が大きくなる

海外に行くだけで裁量権が大きくなる?と疑問に思う人がいるかもしれません。

東南アジアの大卒初任給は国にもよりますが3万円~8万円程度です。それに対して、若手日本人現地採用者の給料は12万円~20万円ほどです。

年齢が同じでも、日本人のほうが給料が高くなっていますね。そうなると、企業としても日本人に対して現地人よりも多くの価値提供を求めることになります。企業内で働く人材が提供する価値は「スペシャリスト」か「マネジメント」のどちらかとなるのですが、どちらも若い日本人が現地人に比べて比較優位にあります。

なぜなら、日本の高品質なサービスを受けたことがあります。それを提供したこともあります。なので、サービスを提供することに対するスペシャリティは現地人よりも持っていることがあります。「知らないものは提供できない」ため、日本のサービスを受けたことがあり、その体験を現地メンバー伝えることができるだけでサービス業であれば価値になります。

また、時間を守ること、約束を守ること、納期を守ること、仕事への責任感、このあたりも日本人は現地メンバーに比べると優位にあることが多いです。また、日本人が興した会社の場合は経営幹部が日本人なので、経営層との意思疎通がはかりやすいということもあり、現地メンバーを管理する立場でも活躍できるのです。

環境が変わるという人生全体へのメリットも

仕事上のメリットだけではなく、海外に"住む"というだけでも人によってはたくさんのメリットがあります。

英語を使いたい、でも、海外旅行にたくさん行きたい、でも、日本にいるよりもたくさんのチャンスがあります。東南アジア内ならエアアジアで往復1万円でいろいろ行けちゃったりもします。このあたりは、人それぞれですね。

海外で働くデメリット

逆にデメリットは?と聞かれると、正直あまり思いつきません。

日本式のマナーが身につかないという方もいるのですが、海外のベンチャー企業では席次や飲み会での乾杯などはたしかに身につきません。が、海外ベンチャーを考えている方で、そのような価値観を大事にしたい方がどれだけいるのか疑問です。海外の大手日系企業では、日本にいるよりも接待が多く、身につくかもしれません。大手では身につき、ベンチャーでは身につかないという意味では日本と変わらないと思います。

日本で転職が難しくなるという意見もあります。これは現時点でいえばその通りかもしれません。履歴書を見たときに、大手企業に長年勤めていた人比べると「汚い」履歴書になるのは間違いない事実です。(転職・海外就職・独立の揃った私の履歴書なんて汚すぎるかもしれません。)
でも、将来日本国内に外国人労働者が増えたときに、彼らとうまくやっていけるのは海外経験者だと思います。コンビニは居酒屋は気付けば外国人労働者だらけになってしまいました。オフィスもおそかれはやかれそうなってしまうはずです。若年者人口が減るのはとめられないですから。
昔は、ベンチャーから大手は転職できないと言われました。今は、結構転職している印象です。海外から国内大手も、ニーズは間違いなく増えるはずです。

ただ、日本国内でのベンチャー就職も同じなのですが、個人の力が重要となるのは間違いありません。履歴書に大手企業の会社名があれば「ある程度仕事ができるんだろうな」と好意的に見る面接官がいることも事実。そういう人たちに経験と実績をしっかりと自分の言葉でアピールしないといけなくなります。「海外に出て、なんとなく過ごしていた」となってしまうとキャリア的にはよろしくないかもしれません。

個人的には新卒海外はおすすめ

私個人の意見としては、新卒海外は行きたい人はどんどん行けばいいと思っています。会社に入って1年目で辞めて海外に行きたいという声も多く聞きますし、そういう方からの応募も来ますが、どんどん行けばいいと思います。

一部の国ではビザの問題もあります。日本法人で雇用して海外出張という扱いにするケースもあれば、現地パートナーと連携してビザを取得する場合もあったり、国によっては普通に就労許可がとれたりするそうですが、とりあえずシンガポール以外の東南アジアでは新卒海外で頑張っている若者を目にします。いろいろな方法があるらしいので、「新卒は無理だよ」という人がいても諦めずに探してみるのもいいと思います。

新卒や第二新卒で海外に行くのは、自分のキャリアを自分で主体的に構築していかなければいけないのと、常に成長し続けるように自分自身で意識できる人にはおすすめなのですが、そうではない主体性がなく受け身スタイルの方は正直オススメしません。これは、日本でスタートアップに就職すること場合と同じだと思います。教育はないが、裁量権を発揮する環境はある、という環境の中で、自分を律することができるかが重要になります。

私が面接で話していること、採用側として知りたいこと

実際の海外第二新卒候補者と面接で話している内容はこんな感じです。

面接の目的ってなんだと思いますか?

最近は最初にこの質問をしています。

私が思っている面接の目的は「候補者の能力を確認する、とともに、方向性と会社の方向性の一致度合いを確認する」ことだと思っています。

新卒の就職活動では候補者も企業側も良いことばかりをプレゼンしているように思えるところもあるのですが、それだと入ってからのギャップが大きくなってしまいます。会社に入ったらやめないのが普通という時代はそれでも良かったのかもしれませんが、合わないと思ったらどんどん辞めるのが現代なので、入社前後のギャップはできるだけ埋めて本当に自社に合う人だけを採用するのが結果的に良い採用になると思っています。

なので、疑問点があったら聞いてもらいたいですし、仕事の辛いところもしっかりと伝えようとしています。そもそも、仕事なんてかなりの割合「辛い」(嫌だ、ではなく、頑張りどころ、という意味)時間であって、輝いているように見えるのは一瞬ではないでしょうか。どんなかっこ良く見える仕事ても、たくさんの辛い仕事が裏にはあるはずです。

なので、その嬉しい瞬間と辛い仕事を理解した上で、どう貢献できるのかをプレゼンしてもらいたいと思っています。

将来の夢はありますか?

将来の夢と、なぜ海外(この街)なのかを聞くのは、本人の方向性とこの環境が合致しているかどうかを知りたいから。

ある程度将来の夢が明確な場合は、その夢に向かった転職になっているかどうなのかをかなり細かく擦り合わせます。日本で転職活動している間は海外の選択肢は少なく見えますが、一度海外で就職すると日本では出会わなかったような人がたくさんいて、様々な事業があることがわかるようになります。そうなったときに、「やっぱりこの会社じゃなくてあっちの会社が良い」となってしまうとお互いによくありません。

他に魅力的なオファーがあったとしても、働き続けてくれる?ということを確認するためにも、将来の夢を持っている人はそことの連続性を重要視しています。逆に、将来の夢があまり定まっていない人の場合は、その人がどんな毎日を送りたいのかを聞き、本当にこの街で良いのかどうかを擦り合わせます。

海外で働きたい、だけでいいですか?

「この街」で良いのか、と上で書いたとおり、「海外」といっても様々ですし、同じ国でも街によって雰囲気はかなり異なってきます。

北京と深圳も違いますし、ハノイとホーチミンも違います。日本にいる間は全部ひっくるめて海外かもしれませんが、実際に住み始めるとそれぞれの街に訪れる機会が増え、街ごとの違いを意識していくようになるでしょう。

喧騒の度合い、経済の発展度合い、清潔感、日常使う交通機関、気候、英語の通用度、近隣国への旅行のしやすさ、など人によって重要視するポイントは様々だと思いますが、候補者にとっての重要なポイントがどれなのかは知りたいと考えています。そして、それがオフィスのある街と合っているのかどうか。

もしこれが合っていないとなると、「海外に来たけどやっぱり私には合わなかった」と感じてしまうかもしれません。海外とひとくくりにするのではなく、街単位で見てみることも重要です。

採用活動の目的とコストを知ってますか?

自社の採用活動の目的と、それにかかっているコストについても話してしまいます。

目的は、今のうちの会社であればざっくりいえば「事業拡大」なのですが、どのような役割を期待しているのか、どのくらいの売上を出してほしいのか、なども最近は話してしまっています。別に隠す必要もないですし、入社したら話すことになりますので。

それとともに、採用にはコストが掛かっているということをお伝えします。人材紹介会社に払う紹介料もあれば、人件費もあります。それを払ってでも会社としてはあなたに来てほしいと考えているので、それを上回る貢献を期待しているということを伝えるという意味もあります。中途面接ではわざわざいう必要もないのかもしれませんが、第二新卒になるとこのあたりを全く知らない人も多いです。

それとともに、就活を頑張って新卒で入社した、今まさに辞めようとしている会社もその採用にかなりのコストを掛けていることもお伝えしています。これは別に責めたいわけでも何でもなく、選択を誤ってしまうと企業も候補者もお互いに不幸になってしまい、そういう人が増えてしまうと社会として高コストになってしまうということをお伝えしたいからです。辞めたい、と思ってしまったのは仕方がないことですし、自分が嫌だと思う環境に長くいても成長は少ないと思うので、転職をすること自体は否定しません。しかし、次の転職はそうならないように慎重に選んでほしいというメッセージです。

もちろん、自社に来て欲しくないからこんな話をするわけではありません。優秀な人材にはジョインしてほしいのですが、その結果合わなくて辞めてしまうようなら結果的にお互いにとってマイナスになるから、そうならないようにしようね、ということです。やはり1年ごとに仕事を変えるよりも3年くらいは一つのことを続けておいたほうが見えてくる世界も違いますし、3年間の成長の合計値も大きくなると思っています。嫌な仕事でも続けろ、という意味ではなく、3年続けたくなるような仕事を選ぼう、ということです。

3年計画によるキャリアの作り方については、別の記事でも紹介しています。

うちの会社にどう貢献できますか?

自社の事業についての質問をしてもらった後に聞くのがこの質問。

事業内容や会社の方向性を理解してもらった上で、それと自分自身の考え方がどう合っているのか。言い換えれば、入社後にどうやってモチベーションを保っていくのか。そして、どんな能力をどのように発揮してくれるのか。このあたりをクリアに話してもらえると、面接官としてはとても嬉しいです。

逆に、もし合わないと思ったことがあれば正直に言ってほしいです。

面接は決してあなたの能力を測るテストではなく、会うか合わないかを判断する場所なので、合わないと判断してもらえればそれはそれで面接の目的を達成しています。

可愛い子(自分)には旅をさせよう

海外で働くということは、人生における旅のようなもの。文字通りホームを離れて、遠征に出るわけです。

気づいたらホームが海外になってしまうという旅の終わりを迎える人もいますが、旅が終わるころには大きく成長しているはずです。

日本という国をもっと知ってもらい、親近感を抱いてもらうためには日本代表が世界で活躍するのが一番だと思います。

海外で働く日本人は皆が日本代表。日本から一歩でてみるのも、楽しいですよ。

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