資産運用(投資)で暮らすとはどういう状態なのかシミュレーションしてみよう【FIREも老後も考え方は同じ!】

投資で暮らす!というとお金持ちだけに許された生活のように聞こえますよね。
でも、そうじゃないんです。誰しもが、そうあるべきなのです。

だって、老後は今までに貯めたお金で暮らしますよね。
それは、まさに資産運用により暮らしている状態ということ。
堅実に、でも、ちゃんと殖える、そんな資産運用ができれば老後の不安は一気になくなります。

そのリタイア年齢を60歳から、55歳、50歳、45歳、、、と早めていくのがFIREであり、セミリタイアです。
FIREやセミリタイアと聞くとなんだか特別なことに聞こえるのですが、考え方は老後の生活と同じです。
ただ、早くリタイアするためには、その分早く資産を作らなければいけないという違いがあり、
逆に資産づくりに失敗してしまうと75歳まで働かなくてはならない・・・となってしまうのです。

この記事を読めば、堅実で効果的な資産運用を知ることで5年、いや、2年でも早く安定したリタイア生活を手に入れることが出来るようになる、超保存版記事です。

サクッと読める目次

資産(貯蓄)を使って暮らすという状態を計算する

まずはじめに、貯金を使って生活していくという状態がどのような状態なのか、計算を元に確認していきましょう。
老後資金が○○万円必要だとか、いろいろと言われていますが自分が必要な資金をしっかり計算しておくことはとっても重要です。

特に、貯金をただ単純に切り崩していくのと、資産運用をしながら切り崩していくのでは、全然違う結果になるのです。
老後資金に目処をつけて安心したい場合も、FIREやセミリタイアを目指す場合も、考え方は同じ。
まずはその目標を明確にしていきましょう。

たとえば、3,500万円あればどのくらい暮らせるのか?

毎月20万円、毎年240万円使って暮らしていくとします。
3500万円を運用しながら取り崩していった場合の資産額の推移をグラフにしたものが以下です。

3500万円を運用しながら取り崩していく場合

3500万円を運用しながら取り崩していく場合

このシミュレーションからわかることは、年利6%で運用可能であれば35年ほどは暮らすことが出来るということです。

漠然と老後に不安をいだいている方は多いと思いますが、65歳時点で3500万円貯めて、年利6%で運用することができれば100歳まで毎月20万円使って暮らすことが出来るということです。
一つの投資の目標にならないでしょうか?

それでは、年利7%のオレンジ色のグラフはどうでしょう、取り崩しながらも増えていきますよね。
3500万円の7%は245万円ですので、毎年240万円使って暮らしていく場合は元本が増えていくことになります。

そして、年利0%、つまり全額普通預金などに入れておいた場合が黄色いグラフですが、運用しなければ15年目には底をついてしまいます。
退職金が入ったタイミングで資産運用を勧める金融機関が言っていることは間違いではありません。
運用は絶対に必要なのです。ただし、金融機関におすすめされるとおりに購入して気づいたら資産が半分になってしまった・・・という例も数多く耳にします。
若いうちから投資の経験をしておくことや、本当に信頼できる友人を持つことの重要性がよくわかりますよね。

さて、ここまで見てきたように、貯蓄額と毎年の切り崩し額によっては、永遠にお金を引き出すことができる水準というものが存在することがわかりますね。
例えば1億円資産を持っていて、年利5%で運用することができれば、毎年500万円が永遠に入ってくる状態なのです。
富裕層の方で、働かなくても良い、という人が存在する理由もおわかりになるでしょう。

利率は4~6%であれば実現可能性が非常に高いです。(信じられない!という方もいると思いますが、後ほどその理由を説明します)
3500万円~4000万円あれば、毎月20万円を死ぬまで取り崩し続けるということが出来るということです。

3000万円なんて貯められる気がしない・・・・。
という声が聞こえてきそうですが、貯めるための資産運用についても後半で解説しますので読み進めていってくださいね。

FIREやセミリタイアという状態はどんな状態なのか

それでは、FIREやセミリタイアという状態がどんな状態かというと、この「資金を取り崩して暮らせる期間がより長い」場合です。
実は先程の例でも年利7%を想定すれば、永遠に月20万円(年間240万円)を引き出しながら暮らすことができましたね。

それでは、この引き出し金額を月額17.5万円(年間210万円)にしてみましょう。

3500万円を運用しながら年間210万円取り崩していく場合

3500万円を運用しながら年間210万円取り崩していく場合

実は3500万円の6%がちょうど210万円なので、年利6%でも永遠に取り崩しながら暮らしていくことができます。
もちろん、毎月必要な費用をより安くすれば必要な資産額は少なくなりますし、より使いたければその分大きな資産額が必要です。

その場合はミニマリスト的FIREとして、以下の2つのパターンが考えられます。

  • リーンFIRE(Lean FIRE)
    3500万円をできるだけ早く貯めて、月17万5000円(年間210万円)でミニマリスト的に生きていく
  • バリスタFIRE(Barista FIRE)
    3500万円をできるだけ早く貯めて、月17万5000円(年間210万円)と毎月10万円ほどの収入で生きていく

※3500万円をできるだけ早く貯めて、というところに「そんなに簡単に言われても無理でしょ・・・」と思う方もいるかもしれませんが、殖やすところも資産運用を活用すれば不可能ではないということを後ほど説明しますね。

「そんな貧乏たらしい生活はしたくない」と思う方もいるかも知れませんが、ミニマリスト的ライフスタイルを送っている方であれば十分幸せなのではないでしょうか。
私もどちらかと言うとこの例にあるバリスタFIREに近い生活をしています。

ちなみに、もう何年も前ですが、私と同年代のブロガーが書いたこの本のタイトルに衝撃を受けて読んだことを覚えています。
その後その方が150万円で暮らしているかはわからないですし、変わってしまったという声を聞くこともありますが、少なくともこの時点での彼の主張は(年収1000万円を目指そうとしていた大学卒業したばかりの当時の)私には衝撃的でした。そして、今はものすごく理解するところも多くあります。

これが、もし1億2000万円持っていたらどうでしょうか?
年間750万円を取り崩すとして、シミュレーションしてみました。

1億2000万円を運用しながら年間750万円取り崩していく場合

1億2000万円を運用しながら年間750万円取り崩していく場合

1億2000万円を運用する場合は、年利6%の場合は55年間、7%の場合は永遠に750万円が入ってくる計算となりました。
これは立派にリタイア生活と言えるでしょう。
もちろん上には上がいて、この数倍の生活をしている人もいるとは思います。

FIREの類型で言えばこんな感じでしょう

  • コーストFIRE(Coast FIRE)
    1億2000万円の資産を元に年間750万円を得ながら、自らの事業で更に収入を得て暮らす
  • ファットFIRE(Fat FIRE)
    2億4000万円の資産を元に年間1,500万円で暮らす(資産額を2倍にしました)

世間一般で「リタイア生活」という言葉を指すのはこのような状態かもしれません。
ただ、金額の大小はあれど、ある程度の資金を運用しながら取り崩すことで、ある一定期間生活が出来るというイメージはできたのではないでしょうか。

市場の変動による影響を考える

上記のシミュレーションでは固定金利でしたが、実際の市場は上がったり下がったり、大きく変動しています。
そんな変動の中で資産運用をしていれば、もちろんその利回りも変動します。
そのときにこの「配当生活」がどう変わるか考えてみましょう。

利回りが想定を下回った場合

最も考えて置かなければならないのは、利回りが想定を下回った場合ですよね。
この場合は基本的には「毎月取り崩す金額を少なくして、同じ期間取り崩し続けるようにする」という戦略になります。
ですので、生活できるギリギリの金額で計画を立てておくと利回りの変動に耐えられないということですね。

相場下落時に大きく取り崩すことは、元本の急激な減少を意味します。
それをしてしまえば、運用資産が大きく下がることにより今後の運用からの収入が大きく低下することになります。

実際のFIRE生活を考えると、取り崩しを少なくする代わりに何らかの仕事を増やして収入を増やすということになるのではないでしょうか。

利回りが想定を上回った場合

上回った場合も考えておきましょう。
上がった分だけ取り崩してパーッと使ってしまうというのも一つの選択肢ですが、元本を増やすチャンスです。
3,500万円の運用金額を4,000万円にすることができれば、その後長年の間引き出せる金額が増えることになりますからね。
こればっかりは個人の価値観ですが、事前にある程度想定しておくことをおすすめします。

私の場合は60歳までであれば元本を増やし、その後であれば使ってしまおうかなと思っています。

市場の変動を考慮した配当生活のイメージ

このように市場変動があるため、毎年同じだけの資金が入ってくる前提で計画を建てることはおすすめできません。

ミニマリスト的FIREの状態では、利回りが低下した場合は毎月資産運用からの収入を抑え、場合によっては取り崩しを行わずにその他の収入で暮らしていくことも考えたほうが良いのではないでしょうか。運用資金が十分に大きい場合は、その運用資金そのものそ取り崩す選択肢もありでしょう。

また、運用利回りが大きく変動しないようボラティリティの低い投資を心がけることも必要ですよね。
このあたりはポートフォリオの考え方として後ほど紹介します。

FIRE状態、又は老後の生活までの資産運用

それでは、次にどうやってその元手となる資産を増やしていくのかをシミュレーションしていきましょう。

まずは、働きながら毎月2万円を40年間投資に回していくとします。

毎月2万円を40年間積み立てる

毎月2万円を40年間積み立てる

どうでしょうか、先ほど「3,500万円」という数字を出しましたが、年利5%でも43年目に、年利6%であれば39年目に達成しています。
大学を卒業した22歳から62歳までずっと積立を続けていれば、65歳の時点で年利5%だとしても3,500万円の資産ができている、ということです。
その資産に退職金を追加すれば、もっと大きな金額になりますね。

先ほどの3,500万円を運用しながら取り崩すシミュレーションを思い出してください。
もう老後の不安なんて吹っ飛びませんか?毎月2万円なら、十分積立可能な金額ではないでしょうか。

あらためてカタく見積もり、年利5%で運用した場合の老後資金シミュレーションをおさらいしますね。

  • 22歳から62歳まで、毎月2万円積立を行うと、65歳時点で3500万円を大きく超える。
  • 65歳から毎月20万円取り崩すと、102歳まで引き出すことが出来る。

どうでしょうか。
実際はこれに退職金が追加されますし、更に年金も収入として追加されます。
適切な資産運用を行えば、老後の不安なんて全然無いわけです。

ただ、これを適切に資産運用しなかった場合が年利0%の場合で、960万円にしかなりません。
それを運用もせずに年間240万円ずつ使っていくと、4年間で無くなってしまいますよね。
65歳から取り崩すと69歳には資産がつきてしまいます。
これでは、老後不安ですよね。

正しい投資を知ることが老後の安心につながる、というのはこういうことです。
そして、この貯蓄のグラフをいかに前倒しすることが出来るのかが、FIREやセミリタイアに近づくかということです。
今は65歳で「配当生活」に必要な資金が貯まることを想定していましたが、これが40歳だったらそれはFIREですよね。

それでは、毎月15万円を15年間積み立ててみましょう。
毎月15万円と聞くと大変そうですが、ボーナス込みで年間180万円と考えると意外とできる人も多いのではないでしょうか。

毎月15万円を15年間積み立てた後に枚と月22.5万円引き出し

毎月15万円を15年間積み立てた後に枚と月22.5万円引き出し

どうでしょうか。
最初の15年間は毎月15万円(年間180万円)を積立。
15年後には4000万円近い資産となります。

その後は毎月22万5000円(年間270万円)を引き出していきます。
年利6%の場合は45年間引き出し続けられますね。年利7%の場合は利回りのほうが上回るので永遠に引き出すことができます。

ちなみに、毎月20万円にすると年利6%でも永遠に引き出せる計算になります。
大手企業サラリーマンがミニマルライフを実践してFIREをしている例が増えてきましたが、まさにそんな一例と言えるでしょう。
今回のシミュレーションは年間180万円の拠出でしたが、ボーナスを加味してもっと拠出できる方もいるのではないでしょうか。
その場合は、10年ほどでFIRE実現できるかもしれません。

市場の変動による影響を考える

ここまでの計算はすべて固定の利回りを想定してきましたが、実際の相場はもう少し複雑です。
米国株の代表的な指標であるS&P500は過去50年間に平均9%の成長を見せているため、長期的に年利9%は実現可能と言われていますが、その中身を見ればリーマンショックのような大暴落があったり、逆に2020年夏から2021年にかけてのような高騰があったりと、より激しく変動しています。

例として毎年100万円を20年間積み立てた場合のシミュレーションを、S&P500の値動きを使ってグラフにしてみましょう。

実際の相場で資産総額をシミュレーション

実際の相場で資産総額をシミュレーション

濃い青色の線がある時期のS&P500の実際の値動きを元にしたシミュレーションです。
実はこのグラフ、50年あたりになると年利6%のラインを大きく上回っていくのですが、投資開始~30年間の間は年利6%の線を上回ったり、下回ったりしています。
9年目前後では黄色い線も下回る瞬間があるので、その時期は一瞬元本割れの状況にもなっています。

どうでしょうか、9年間頑張って積み立てている資産運用が、マイナスになっていたら・・・?
又は、25年目付近で「増えてきた、そろそろFIRE近いか!」と思っていたあとに大暴落したら・・・?
実はこういうときに、もう投資なんてやめよう!やっぱり貯金が一番!と思う方も少なくないのです。
「右肩上がりになる資産」を保有しているのであれば、持ち続けることで絶対に回復するのですが、下落時に慌てて売ってしまうと損をしてしまいます。
もちろん、右肩上がりに上がる資産を選べていない場合も、もちろん損をしてしまいます。

S&P500の値動きについてより詳細な記事はこちら

それに対して水色のラインは、6%固定金利に半分、もう半分はS&P500と、半分ずつ投資を行った場合です。
青い線に比べると上下が激しくなく、比較的人生設計を作りやすいのではないでしょうか。

「資産総額が○○万円になったらFIREしよう!」
「毎年○○万円の配当金で生活をしていこう!」

そういう計画を考えた場合、変動が大きいとこの計画も修正を余儀なくされていきます。
それは、決して安心できる状況ではないと言えるでしょう。
変動のことを投資用語でボラティリティと言いますが、株式投資はボラティリティが高い投資なのでこのように変動が大きいのです。
(仮想通貨やFXなどはもっともっと大きいです。あの辺りは投資ではなくギャンブルだと思っています。)

ですので、変動が少ない(=ボラティリティが低い)資産も持っておきたいですよね。
このあたりはETFを色々組み合わせる手法をしている方もいるのですが、知識をつけていく必要があります。
私の場合はそのあたりは手っ取り早く香港の保険を活用しています。
日本の保険は本当に増えないのですが、日本国外の保険はちゃんと増えて変動も少なめなのでかなり安心できるんですよね。
ちなみに、利回りでいうと5~7%前後となる予測です。

香港などのオフショア投資には、S&P500などのインデックス投資に対して「変動が少ない安定した商品」と「更にリスクが高い代わりにリターンが見込める商品」という、少しだけ振れ幅のあった商品が手軽に手に入るのが特徴だと思っています。
ハイリスクの商品で年利10%といった夢を見つつ、S&P500のインデックスで8%前後の成長を目指し、香港の保険で6%前後の安定運用を行う。
そんな組み合わせが最近の私のポートフォリオ(資産運用の配分)です。

FIREや老後資金の目安となる金額から目標を定めよう

上で行ったシミュレーションで共通している金額が「3,500万円~4,000万円」です。
実はこの金額はFIREや老後資金獲得の一つの目安となります。
この金額を6%で運用しながら毎月20万円前後を取り崩すことが出来るのです。

豪華な余裕ある生活はできないかもしれませんが、一人が生きていくには十分な金額ですよね。
ですので、老後資金やFIREを目指す上ではこのくらいの金額を目指せば良いことになります。

毎月引き出したい金額必要な貯蓄額
20万円4000万円
30万円6000万円
40万円8000万円
50万円1億円

一家全員でのFIRE生活や、夫婦での老後資金などこれを元に計画していけるのではないでしょうか。
なお、この資産はすべて年利6%を想定して作っています。
後ほど述べるように、年利6%はかなり手堅い数字で実現可能性も高いです。

ただし、相場の騰落を考えると、年によっては引き出す金額を下げるなど暴落時にどう対処するのかを想定しておくと良いでしょう。

FIRE・セミリタイアと老後資金の考え方まとめ

年利5~6%での運用はかなり確実に可能です。
そして、年利6%で運用しながら元本の6%を引き出していれば、永遠に引き出し続けることができます。

一つの目安として、4,000万円を貯めると、大体月20万円(年間240万円)を継続して引き出せるようになります。
そのためには、例えば下記のような金額・期間で資産運用を行います。

  • 毎月2万円を40年
  • 毎月15万円を15年

それはなかなか難しい・・・!という方もいるかもしれませんが、この半分だったとしても毎月10万円を継続して引き出せるのです。
年金と合わせて考えれば、老後の不安はかなり無くなるのではないでしょうか。

もちろんその前提は「正しい資産運用」をすること。
そのために必要なのは、下記の3つの条件です。

  • 騙されたり、変な投資に手を出さないこと
  • リスクを分散しておくこと
  • 暴落時に狼狽売りしないこと。

これだけ知っていれば、資産運用はある程度うまく行きます。

車の原理やエンジンの仕組みを知らなくても車を運転できるように、金融知識が無くても資産運用はできる、そういう世界があって当たり前だと思っています。
ここで解説した内容は金融理論というよりは、運転免許のようなものだと思ってください。

そのうえで、質問があれば是非LINEでどんどん送ってもらえると嬉しいです。
誰もが正しい資産運用を行い、明るい未来を作っていける、そんな未来を作っていきたいので、質問には何でも答えます!

こんな記事もいかがでしょう